看護師の世界も競争社会
総合病院などは入院患者のベッド数が多いので、多くの看護師を必要としています。そのために、毎年看護学校を卒業する新入生を複数募集しています。同じ看護学校からも採用がなされると、同期として勤めが始まります。入所1年目は、病院の組織や夜勤の仕事などを覚えることで毎日が過ぎていきます。そうして1年目が過ぎるころになると昇給の時期になり、人事考課という評価制度の一覧を看護師長から見せられます。しかし、2年目に入って給与明細を見ても初任給が若干増えていた程度で、同期も同じなので気にもしません。
このような1年が繰り返されて5年ほど経つと、評価の月が来ると段々と落ち着かなくなってきます。1年では500円か1,000円単位の違いでも、5年経てば数千円になります。更に、ボーナス時の基礎数字になるので、同じ月数を掛けると万の格差が生まれてしまいます。入所が同じでも、なぜ自分の給料は低いのかと思うと感情的に辞めたいと思うものです。仕事としては同じことをやっているので、不条理であると思うようになります。そうして、8年ほど経つと突然同期の人に主任の肩書が付けられることもあります。もう許せないと感情が高ぶる人もいるでしょう。今度こそ「辞めたい」、自分は誰かに低く見られているのだろうと思うようになってしまいます。
しかし、この時が人生の岐路になります。人事考課というものは、人を育てるために上司になる人が課題を見つけるものなのです。誰でも完璧な人などいません。自分が他の人と劣る部分が何であるかを上司に聞くことが大切なのです。これを聞かないで、辞めても同じことの繰り返しになります。自分を成長させる為にも、評価されないから辞めるという安直な考えをせず、成長するために何が必要なのかを考えるようにしましょう。